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沖縄の軍用地とは?知っておきたい基礎知識

  • 軍用地

沖縄で不動産について調べていると、「軍用地」という言葉を目にしたことがあるかと思います。

「軍用地は普通の土地と何が違うの?」「軍用地を持っていると借地料がもらえるって本当?」「売買できるの?」「なぜ投資先として人気があるの?」など、沖縄県内に住んでいる方でも、詳しい仕組みまでは知らないという方も多いのではないでしょうか。

軍用地は、一般的な住宅用地や事業用地とは少し性質が異なる特殊な不動産です。一方で、沖縄では長年にわたって売買されてきた身近な不動産でもあります。

この記事では、これから軍用地について知りたい方に向けて、「そもそも軍用地とは何か」という基本から、借地料、価格の決まり方、売買、相続、メリットや注意点まで、できるだけ分かりやすく解説します。

そもそも軍用地とは?

軍用地とは、一般的には米軍基地や自衛隊施設など、防衛施設として使用されている土地を指して使われる言葉です。

沖縄には多くの米軍施設・区域が集中しており、2024年1月1日時点では、全国の在日米軍専用施設・区域の面積の約70%が沖縄県に所在しています。また、沖縄県内の米軍専用施設用地のうち、約77%は民公有地とされています。つまり、基地として使われている土地のすべてが国の所有というわけではありません。個人や法人などが所有している土地を、国が借りて米軍施設等として提供しているケースが多くあります。

ここは軍用地を理解するうえで、とても重要なポイントです。

「基地の中にある土地だから国の土地」と思われることがありますが、実際には個人が所有権を持っている土地も数多くあります。その土地を国が借りて使用しているため、土地の所有者には国から「借地料」が支払われます。

沖縄防衛局も、米軍施設・区域内の民公有地について、土地所有者との賃貸借契約を締結した上で使用することを基本としていると説明しています。

軍用地の地主には「借地料」が支払われる

軍用地の大きな特徴の一つが、土地を所有している地主に対して国から借地料が支払われることです。

一般的な賃貸不動産で考えると、「土地を貸して、その対価として賃料を受け取る」という仕組みに近いものです。

ただし、アパートや店舗などの賃貸物件とは大きく違います。借主が一般の個人や企業ではなく、国であること、そして土地の利用目的が米軍施設や自衛隊施設などに限定されていることが特徴です。

借地料の支払いは、毎月家賃が振り込まれる一般的な賃貸物件とは異なります。沖縄防衛局によると、例年7月頃から8月頃にかけて支払い手続きに必要な書類が送付され、書類が整ったものから支払い手続きが進められます。

軍用地の価格はどうやって決まる?

一般的な土地の場合、「坪単価○万円×土地面積」という考え方で価格を検討することが多いでしょう。

一方、軍用地の売買では、「年間借地料×倍率」という考え方が広く使われています。

例えば、年間の借地料が50万円で、取引上の倍率が50倍だった場合、

50万円×50倍=2,500万円

というように、価格の目安を考えることができます。

この「倍率」は、軍用地の売買を理解する上で非常に重要な数字です。

ただし、倍率はすべての軍用地に一律に決められているものではありません。施設の種類、場所、返還の可能性、借地料の状況、市場での需要など、さまざまな要素によって取引価格が形成されます。

そのため、「倍率が高ければ必ず良い物件」「倍率が低ければお買い得」と単純に判断することはできません。

例えば、年間借地料が高くても、返還の予定や可能性がある土地であれば、将来の収益を含めて慎重に検討する必要があります。逆に、倍率が高く見える土地でも、借地料の増加や土地の将来的な価値などを含めて考えると、購入を検討する理由がある場合もあります。

軍用地を購入するときは、倍率だけを見るのではなく、「どこの土地なのか」「何に使用されているのか」「年間借地料はいくらなのか」「返還の予定はあるのか」といった情報を総合的に確認することが大切です。

軍用地は実際に使えるの?

「土地を買うのなら、将来そこに家を建てたい」と考える方もいるでしょう。

しかし、現在軍用地として使用されている土地は、一般的な住宅用地とは違います。

軍用施設として使用されている間は、所有者であっても自由に土地を利用できるわけではありません。基地等の施設内にある土地については、通常の土地のように自由に立ち入ったり、住宅を建てたり、駐車場として使用したりすることはできません。

この点は、軍用地を購入する際に必ず理解しておきたいところです。

一般の土地では、購入前に現地へ行って土地の形状や周辺環境を確認するのが普通です。しかし、軍用地では自由に立ち入ることができないため、公図、登記情報、航空写真、借地料に関する資料など、さまざまな資料を確認しながら検討することになります。

つまり、軍用地は「土地そのものを自由に利用するために買う」というよりも、「土地を所有し、国から借地料を受け取る」という側面が強い不動産だと考えると分かりやすいでしょう。

なぜ軍用地は投資先として注目されているの?

軍用地が投資先として注目される大きな理由は、一般的な賃貸不動産とは異なる収益の安定性にあります。

例えばアパートやマンションの場合、入居者が退去すれば家賃収入がなくなります。空室が続けば収入が減る一方で、建物の修繕費や管理費などが発生します。

これに対して軍用地は、建物を貸して家賃を得る不動産ではありません。国が土地を使用し、その対価として借地料が支払われるため、一般的な賃貸経営で発生する空室や入居者対応、建物の修繕などとは無縁です。

また、軍用地の表面利回りは一般的に2%程度と紹介されることがあります。一般の収益物件と比較すると決して高い利回りではありませんが、管理の手間や空室リスクなどが小さいことから、「高い利回りを狙う」というより「安定性を重視して長期で保有する」資産として考えられることがあります。

ここで注意したいのは、「軍用地は必ず儲かる」という意味ではないということです。

投資である以上、価格が変動する可能性がありますし、返還などによって土地の利用状況が変わる可能性もあります。利回りだけで判断するのではなく、自分の資産形成の目的に合っているかを考えることが重要です。

軍用地にも「返還」の可能性がある

軍用地を検討する際に、必ず確認しておきたいのが「返還」です。

米軍施設や自衛隊施設として使用されている土地が、将来的に返還される可能性はあります。

返還されれば、それまで受け取っていた借地料の仕組みが変わるため、軍用地を購入するときには、その土地がどの施設に含まれているのか、返還予定があるのか、返還後の土地利用についてどのような計画があるのかなどを確認する必要があります。

一方、返還されたからといって、必ずしも土地の価値が下がるとは限りません。

返還後に新しい道路や商業施設、住宅地などとして整備されることで、土地の価値が高まるケースも考えられます。また、返還後の一定期間については、法律に基づく給付金等の制度が設けられている場合もあります。

そのため、「返還=悪いこと」と一律に考えるのではなく、「いつ返還されるのか」「返還後にどのような土地利用が想定されているのか」まで確認することが大切です。

軍用地は売買できる?

「軍用地は基地の中にある土地だから、普通の人は買えないのでは?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、所有権を持つ土地については、一般の不動産と同じように民間で売買されているものがあります。

売買によって所有者が変わった場合には、単に土地の所有権移転登記をするだけではなく、軍用地特有の手続きも必要になります。

沖縄防衛局もしくは地主会では、売買や贈与等によって土地所有者が変更された場合、旧所有者と新所有者との間で借地料の精算について確認する「念書」、賃貸借契約の内容を新所有者が引き継いだことを確認する「承継同意書」、振込口座の変更に関する書類などの提出を案内しています。

つまり、軍用地の売買では「土地の所有権を移す」という通常の不動産取引に加えて、「国との賃貸借関係を新しい所有者へ引き継ぐ」という側面があります。

この点が、一般の土地売買と軍用地売買の大きな違いの一つです。

相続するときにも注意が必要

軍用地は、親から子へ、あるいは祖父母から孫へと相続されるケースもあります。

相続した場合には、通常の不動産と同様に所有権の相続登記が必要です。相続登記は2024年4月1日から義務化されており、軍用地についても例外ではありません。

さらに、軍用地については、所有者が変わったことを沖縄防衛局もしくは地主会へ届け出る手続きも必要になります。また、相続税についても注意が必要です。

「軍用地は相続税対策になる」と聞くことがありますが、単純に「軍用地なら評価額が何%下がる」と考えるのは適切ではありません。相続税における土地の評価は、その土地の種類や権利関係、利用状況などに応じて行われます。

国税庁も、賃貸されている土地については権利関係に応じて評価額を調整することを示しています。したがって、実際の相続税評価については、土地ごとの状況を確認し、必要に応じて税理士等の専門家へ相談することが重要です。

軍用地を購入するときに確認したいこと

軍用地は「借地料がもらえる」という一面だけを見て購入するのではなく、次のような情報を確認することが重要です。

まず確認したいのは、年間の借地料です。

次に、その土地の所在地や施設名、土地面積、地目、契約内容などを確認します。

そして、販売価格と倍率の関係を確認します。年間借地料に対して何倍の価格で販売されているのかを計算することで、その物件の価格水準を考える一つの材料になります。

さらに重要なのが、返還予定の有無です。

軍用地は「国が借りているから安心」と言われることがありますが、将来にわたって必ず現在と同じ状態が続くことが保証されているわけではありません。

また、購入資金についても慎重に検討しましょう。

軍用地は金融機関によって担保評価が行われ、軍用地購入を対象とした融資商品が取り扱われている場合もあります。ただし、借入金を利用して購入する場合は、借入金利や返済期間、将来の売却価格なども含めて資金計画を立てる必要があります。

「借地料が入るからローンを返済できる」という単純な考え方ではなく、金利が変動した場合や売却が必要になった場合なども含めて考えることが大切です。

軍用地は「安定した不動産」だからこそ、内容を確認することが大切

ここまで説明したように、軍用地には一般の不動産とは異なる特徴があります。

国が借主となっているため、一般的な賃貸物件と比べて収入が安定しやすいこと。建物を所有して賃貸するわけではないため、修繕や入居者対応などの管理負担が少ないこと。そして、沖縄では長年にわたり軍用地の売買市場が形成されていること。

こうした点から、軍用地は資産形成や相続を考える際の選択肢の一つとして注目されています。

一方で、「絶対に値下がりしない」「必ず借地料が上がる」「いつでも高く売れる」といったものではありません。

軍用地は土地ごとに条件が異なります。

同じ「軍用地」という名称でも、施設が違えば借地料も倍率も異なります。返還の可能性や将来の土地利用も異なります。さらに、購入する人の資産状況や目的によって、適した物件も変わってきます。

そのため、軍用地を検討するときは、単に「倍率が高い」「借地料が高い」という数字だけで判断するのではなく、その土地がどのような土地なのかを総合的に確認することが重要です。

まとめ

沖縄の軍用地は、米軍基地や自衛隊施設などとして使用されている土地で、その中には個人や法人などが所有し、国に貸し出されている土地が数多くあります。

土地所有者には国から借地料が支払われ、軍用地の売買では「年間借地料×倍率」という考え方が価格を判断する際の重要な目安となります。

また、一般的な賃貸不動産と違い、建物の管理や入居者対応が必要ないことから、安定した収益を重視する方から注目されています。

その一方で、返還の可能性や土地を自由に利用できないこと、通常の不動産とは異なる売買・相続手続きがあることなど、知っておかなければならない注意点もあります。

「軍用地だから良い」「軍用地だから危険」と決めつけるのではなく、その土地の借地料、倍率、施設、返還予定、契約内容などを一つずつ確認することが大切です。

軍用地は、沖縄ならではの歴史や土地利用のあり方と深く関係している不動産です。投資や資産形成という側面だけではなく、「自分が所有している土地が、どのような仕組みで国に利用されているのか」を知ることも、軍用地を理解する第一歩になるでしょう。

軍用地の売却や購入、相続などをご検討の際には、通常の土地とは異なる確認事項があります。

弊社ではこれまで、沖縄県内の不動産売買を通じて、軍用地の売買やご相談を数多く承ってまいりました。「自分の持っている軍用地がいくらくらいになるのか知りたい」「相続した軍用地をどうしたらよいか分からない」「軍用地を購入してみたいけれど、何を確認すればよいか分からない」といった場合も、まずはお気軽にご相談ください。

大切な資産だからこそ、メリットだけではなく、注意点もしっかり確認した上で判断することをおすすめします。